命の源を見直す:あなたは「適切な塩」を摂取していますか?

 健康ブームの中で「減塩」ばかりが叫ばれていますが、本当に大切なのは量よりも「質」であることに、多くの人が気づいていません。私たちの体液や血液の組成は、驚くほど太古の海水と似ています。

 細胞が正常に機能し、神経伝達や筋肉の収縮をスムーズに行うためには、塩分は欠かせない生命の維持装置です。しかし、私たちが日々口にしている塩が、もし「生命のバランス」を欠いた不自然なものだとしたらどうでしょうか。

 減塩して体に力が入らなくなったり、逆に血圧を気にして味気ない食事を続けたりするのは、本末転倒かもしれません。エビデンスに基づけば、体が必要としているのは「単なるしょっぱさ」ではなく、海水が持つ多種多様なミネラルが調和した状態の塩なのです。まずは、ご自身の体調と相談しながら、今使っている塩が自分の命を支えるに値するものか、真剣に向き合ってみる時期に来ています。

伝統的な日本の平釜
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その正体は化学物質?現在の食品に使われる「偽物の塩」

 コンビニ弁当や加工食品、安価な食卓塩の成分表をじっくり見たことはありますか。そこに書かれているものの多くは、厳密には私たちが本来呼ぶべき「塩」ではなく、純度99%以上の「塩化ナトリウム」という化学物質です。

 かつて日本には「塩田」という素晴らしい文化がありましたが、1970年代の法改正以降、効率化の名の下に伝統的な製法は激減しました。その結果、市場に出回ったのが「精製塩」です。

 これは工業的な電気分解によってナトリウムイオンだけを取り出したもので、自然界には存在しない極端な偏りを持っています。一流の料理人が「精製塩は刺すような辛さがある」と評するのは、ミネラルという「雑味(=旨味と緩和材)」が完全に削ぎ落とされているからです。私たちが毎日摂取しているのは、食品ではなく、精製された白い粉末であるという事実に気づく必要があります。

成分表の真実:本物の「塩」は原材料名に「海水」と宿る

 本物の塩を探すための第一歩は、パッケージ裏の「原材料名」を確認することです。ここが「塩」や「塩化ナトリウム」ではなく、シンプルに「海水」とだけ記載されているものが、海から直接届けられた証となります。

 古来、日本人は海水を煮詰めたり、風に当てたりすることで塩を得てきました。この「海水」という表記こそが、海に含まれる80種類以上の微量元素を内包している可能性を示す唯一のサインです。しかし、ここで注意が必要なのは、単に「海水」と書かれていれば合格ではないという点です。原材料はあくまでスタート地点。その海水を「どのような魔法(工程)」にかけて塩の形にしたのか、そこまで読み解く力が、一流の消費者には求められます。言葉の定義を正しく理解し、ラベルの裏側に隠された製造者の哲学を読み取ってください。

「イオン膜」の罠:海水由来でも中身は「純粋な化学物質」

 スーパーの棚で「天然塩」「海塩」と謳われていても、工程欄に「イオン膜(イオン交換樹脂膜法)」の様なものが書かれている場合は要注意です。この製法は、海水の水分子からナトリウムと塩素だけを電気的に引き剥がし、濃縮した塩水を作る技術です。

 このプロセスを通ると、海水に含まれていたはずの貴重なマグネシウムやカルシウムといった他のミネラル分は、膜を通過できずにほとんどが排除されてしまいます。つまり、入り口が「海水」であっても、出口では極めて純度の高い「塩化ナトリウム」に変貌しているのです。これは効率的に大量生産するための工業的アプローチであり、自然のバランスを摂取するという観点からは遠ざかってしまいます。「海水」という言葉の響きに騙されず、その裏側にある科学的な処理プロセスを見抜く眼力が必要です。

「平窯」と「天日」が保証する、海の安全性と伝統の味

 私たちが探すべき究極の塩は、工程に「平窯(ひらがま)」や「天日(てんぴ)」と記されたものです。平窯は開放した釜で海水をゆっくりと煮詰める日本伝統の技法であり、天日は太陽と風だけで結晶化させる気の遠くなるような製法です。これらの製法が選ばれる最大の理由は、海水のミネラル構成をそのまま形にできる点にありますが、もう一つ重要な側面があります。

 それは、「原料となる海水の汚染がないことの証」でもある点です。濃縮や精製を機械に頼らず、海水をそのまま結晶化させるため、原料となる海域が清潔でなければ成立しません。つまり、「平窯・天日」という文字は、その塩が育まれた海の環境そのものが清らかであるという、産地の誇りと安全性の証明書でもあるのです。

本物の天然塩だけが持つ「黄金のミネラルバランス」

 本物の天然塩には、血圧を下げる働きをサポートするカリウム、筋肉をリラックスさせ代謝を助けるマグネシウム、そして骨の材料となるカルシウムなどが絶妙なバランスで含まれています。

 これらは単独で摂取するよりも、海水の組成に近い「複合体」として摂取することで、体内での吸収効率や生理機能が最大化されます。精製塩を摂取すると血圧が上がりやすいと言われるのは、ナトリウムを体外に排出する役割を担うカリウムやマグネシウム(天然塩には存在する)が欠落しているからです。

 自然界は常にバランスで成り立っています。塩化ナトリウムという「点」ではなく、ミネラル群という「面」で塩を捉えること。このわずかな違いが、細胞レベルでの代謝を活性化させ、私たちの体のパフォーマンスを根底から支えることになるのです。

内臓をいたわる知恵:天然塩は腎臓・肝臓を酷使しない

 「塩分の取りすぎは腎臓に悪い」という常識も、塩の種類によってその解釈は変わります。純度100%に近い精製塩は、体にとって「異物」に近い衝撃を与え、過剰なナトリウムを排泄するために腎臓や肝臓に多大な負荷をかけます。

 一方で、ミネラルが豊富な天然塩は、成分同士が助け合って代謝されるため、内臓への負担が穏やかであるという研究報告もあります。ただし、ここで気を付けたいのは、「本物であっても、取りすぎは禁物」だということです。

 天然塩が良いからといって、過剰に摂取すれば当然、体液のバランスは崩れます。「良質なものを、必要な分だけ」。この「ほどほどに」という心持ちが、内臓をいたわり、長く健康を維持するための秘訣です。

塩が変われば、あなたの生活のすべてが変わる

 「たかが塩、されど塩」。塩を変えることは、単なる調味料の変更にとどまりません。まず、料理の味が劇的に変わります。素材の甘みが引き出され、出汁を引く手間が省けるほどに味が決まるようになります。

 そして何より、あなたの体質や日々の活力が変わり始めます。朝の目覚めがスッキリしたり、疲れにくくなったり、あるいは過度な食欲が抑えられたりと、ミネラルバランスが整うことによる恩恵は計り知れません。私たちが日常で口にする最も基本的な「ミネラルを本物に変えること」は、自分自身の体への敬意を払うことと同義です。

 キッチンに置かれた小さな塩の瓶を、海と太陽のエネルギーが詰まった逸品に置き換える。その小さな一歩が、あなたの人生の質を劇的に向上させるターニングポイントになるはずです。


まずは今すぐ、キッチンの塩の裏側を見てみませんか?もし「イオン膜」と書いてあったら、今週末は「平窯・天日」と書かれた塩を探すお買い物に出かけてみましょう。

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